由屋の建物探訪(壁編)
藤橋 由希子
見つけよう!友禅五彩
由屋るる犀々は金沢にあって、金沢らしさを感じられる宿でありたいと思っています。
ですから宿のあちこちに、金沢ならではのものを取り入れています。
今日はその中の1つ、客室の壁についてご紹介します。
当館の客室の壁には、金沢ならではの伝統色「友禅五彩」と称される5色を取り入れています。
金沢を代表する伝統工芸品に「加賀友禅」という着物があります。
写実的な花鳥柄を特徴とし、「先ぼかし」や「虫食い」といった独自の技法を用いたとても優雅な着物です。
加賀友禅の美しい色の基本となるのが「友禅五彩」という基本の5色です。
「藍(あい)」、「臙脂(えんじ)」、「黄土(おうど)」、「草」、「古代紫」
美しい格調高いこの伝統色は、一見派手なように見えて、その中に入ると不思議と違和感なく落ち着けるから不思議です。日本人だなぁと思う瞬間なのかもしれません。
藍
美しい深みのある青色です。当館ではスイートとジュニアスイートの一部、宴会場の床の間に使用しています。
臙脂
落ち着きのある赤色です。派手さを感じないのが不思議です。ジュニアスイートとスタンダードの一部で使用しています。
黄土
文字通りの黄土色です。
綺麗な色なのですが、他の色を比べると、とても落ち着いた色なので自然に見えます。
スタンダードのダブルタイプで使用しています。
草
うぐいす色とも抹茶色とも違う緑色。
新品の畳のような自然な色です。
ジュニアスイートの一部のお部屋で使用しています。
古代紫
上品な紫色です。
今ではとても珍しい壁色ですが、観光スポットの「成巽閣」の2階のお部屋に同じ色が使われています。
ジュニアスイートの一部のお部屋で使用しています。
まとめ
土壁は割れたり削れたりとデリケートですが、洋室で使用する壁紙のように部分補修はできません。
塗り直しには乾燥含めて1週間以上の期間が必要なことから、徐々に見ることが少なくなりましたが、大切な日本の伝統建築です。
皆さんはお部屋選びをどのようにして決めますか?
お値段、広さ、間取り、眺望・・・いろんな選択肢がありますが、由屋では「壁色」で選んでみてはいかがでしょうか?
きっと一味違う雰囲気で普段と違った気分でお過ごしいただけますよ。