ぶらり金沢ベイエリア(リピータ向け)
藤橋 由希子
北陸新幹線開業以来、金沢には沢山の観光客が訪れていますが、皆さん新幹線利用が多いからか、観光客が目立つのは交通の便が良い中心部ばかりですね。
そうなってくるとどこも人込みで観光もままなりません。金沢の魅力がきちんと伝わるかちょっと心配にさえなってしまいます。
という事で、今回は一足延ばして楽しめる、魅力的な金沢をご紹介しましょう!
それが「かなざわベイエリア」
そう、金沢港周辺の魅力を、知り得る限りの知識でもってご紹介しますね。
金沢港の持つ3つの顔(その1)
観光客の皆さんが一番に頭に浮かぶのはやっぱり「漁港」としての顔でしょう。
市街中心部から30分ほどというロケーションから、とびきり鮮度の高い魚介類が市場に出回るため、自他ともに認める「海鮮の町」が金沢ではないでしょうか。
市場が近いことが理由なのか、金沢港のセリは他とちょっと違います。
朝8時半あたりと、夜8時半あたりの1日2回セリをするのが金沢港です。
そして水曜日がセリのお休みになるので、そこに合わせて市内の飲食店や近江町市場の魚屋さんでは水曜日を定休にしているところも多いです。
かくいう当館もたまに水曜日の夕食の受付をしない日があります。板長の眼鏡に叶う魚がなさそうなら、お客様にお出しできないという事で、夕食受付をストップさせたりするんです。ワガママなこだわりですけど、こういう頑固さって大事だなって思います。
セリの様子をのぞいてみたいという方も多いと思いますが、やはり基本は立ち入り禁止です。
ですが窓越しに楽しめるお店をご紹介しましょう!
それが金沢港の中にある「厚生食堂」。夜の時間帯ならこのお店の窓からセリ場が覗けますよ。
このお店で提供されるのはもちろん新鮮な魚介類。刺身定食や海鮮丼は、近江町市場のはるか上を行く内容だと思いますので、行く価値アリアリです。
とはいえとにかく混雑するお店で、ランチタイムは難しいです。是非夜にお出かけください。もちろん電話をかけてから向かってくださいね。定休日の水曜以外にも臨時休業がありますから。
金沢港の持つ3つの顔(その2)
金沢港の大きな役割と言えるのが、物流の拠点です。つまり貨物船が停まる港でもあるんです。
その歴史は古く、藩政時代は「北前船」の寄港地として栄えていました。
北海道から持ち込まれる、小麦や大豆。そこに地元の米や塩が加わって、金沢港のある大野町は「日本五大醤油産地」の1つにも挙げられる醤油の町となりました。
醤油づくりと味噌づくりはセット(作り方がほとんど同じ)なので、同時に大野町は美味しい味噌の町でもあります。
和食の味の決め手ともいえる味噌や醤油は、ほんのり甘めが特徴の金沢の味も生み出しました。
北前船で栄えた豪商、銭屋五兵衛の記念館もベイエリアにあります。藩政時代の金沢は現在の名古屋に匹敵するほどの繁栄ぶりだったそうで、その一助となったのが銭屋五兵衛です。また優れた商才を持つ五兵衛の知恵袋だった発明家の大野弁吉も記念館があるのもこのエリア。
発明家という顔の他にも多彩な才能を感じる弁吉記念館は、「からくり記念館」という名称です。小さなお子様が楽しめるような、彼の発明品が展示されているほか、実際に触れることの出来るものもあるので足を運んでみてはいかがですか?
現在も貨物船が乗り入れしているので、たくさんのコンテナや倉庫が港の向こうに見えたりしますよ。
金沢港の持つ3つの顔(その3)
3つ目の顔は一番新しい顔です。旅客船の寄港地としても金沢港は機能しています。
旅客船と言ってもフェリーじゃないですよ。国内外の豪華客船が寄港するんです。
2018年は42回予定されていて、大きいものだと3000名を上回る収容の、巨大要塞のような、巨大ビルのような、巨大マンションのような船が停泊します。
こんな時は金沢港に向かう道からは、突然ビルが出現したかのような驚きの光景が見られます。
この船に乗っている乗客は、一旦船を降りて市内観光へとくり出してゆきます。夜にはまた船に戻って出向してゆくという流れです。
船の旅、憧れますね!
街歩きのススメ
「かなざわベイエリア」と紹介しているこの界隈は、大野町、金石(かないわ)町というエリアです。
港町として栄えたこの地区は、金沢の他のエリアとは町並みも違います。
是非歩きやすいスニーカーを履いて、このエリアを散策してください。
大野町散策
大野町は先に紹介した通りたくさんの醤油屋さんがある町です。時には火入れをしている醤油の香ばしい香りが町いっぱいに広がることも!ヤマト醤油や直源醤油はこのエリアの2大看板で、どちらも立ち寄ってお買い物や喫茶、軽食が楽しめますのでお勧めですよ。
歴史ある蔵造りの建物が残っている町並みは、とても雰囲気があってお勧めです。
また大野町には変わったお祭りもあります。毎年7月に行われる「山王悪魔祓い」は、天狗や鬼などの面をつけた「お坊さん」が各々に武器を持って各家を周り、その家に棲む悪魔を祓うというもので、無形民俗文化財にも指定されています。
そうそう、有名な宝生寿司があるのもここ大野町ですよ。
金石町散策
金石町は商人の町というより、私は船乗りの町だなと感じます。その証拠に町の中にわずかに残る「舟板塀(ふないたべい)」は、その名の通り、もともと舟に使っていた木材を有効利用するために、建材に転用したもので、至るところに修繕の跡があり、銅の板を貼って補強した箇所も見られます。
地味なようで、とても深い趣がある舟板塀が見られる家もめっきり少なくなりましたが、是非裏路地を探してみてください。
見つけた時はきっと感動もひとしおです!
このスポットで面白いのは、金沢の民話「飴買い幽霊」の舞台となった「道入寺」。
子供を身ごもった女性が亡くなり、棺桶の中で子供が生まれ、母親は幽霊になって毎晩飴屋に飴を買いに行って子供を育てたというお話。毎晩飴を買いに来る女を不審に思った飴屋の旦那が、後をつけたことで赤ん坊が発見され、後にその赤ん坊がその寺の住職になったという事です。このお寺の逸話を聞いて、かの有名な日本画家、丸山応挙が飴買い幽霊の絵を描いたそうで、この絵は掛け軸となって、年に数回お披露目されています。
あ、先に紹介した北前船の豪商、銭屋五兵衛記念館は金石町にありますよ。記念館のそばにある「大野湊神社」では年に1回(5月)の神事で薪能が行われることでも有名です。勇ましい漁師町で、幽玄な薪能が神事として長年続いていることも素敵だなと思います。
まとめ
ズラッと書きました、「かなざわベイエリア」の見どころ紹介。
いかがでしたでしょうか。すごくざっくりとした紹介ではありますが、是非詳細は皆さん自身の目でご確認ください。
金沢にはまだまだ魅力が沢山!
ガイドブックでは分からない金沢の魅力は是非金沢の人に聞いてくださいね!
あ、もちろん当館スタッフにも聞いてください。金沢愛溢れる「スタッフF」をご指名いただけると嬉しい限りです!